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         “答辞”を聞いて当時を想う・・・
                               同窓会役員会(上野記)



同窓会役員に名を連ねているために卒業式に呼ばれた。受付でもらったリボンを付けて来賓席に座ると自らの卒業式の時が思い出された。あの頃、来賓席に座っている人たちとはどんな人たちなのだろうかと考えていた。今になれば何のことはない、家に居て古女房と顔を突き合わせていても仕方ないから久し振りに母校の様子でも見てくるかと、出掛けてきただけである。半世紀の年月が見事に当時の疑問に答えを出してくれた。

卒業生が入場してくる。まず驚かされるのが服装である。今や、男は学生服、女子は制服、という時代ではないのである。男は入社式かと思うようなスーツ姿が多い中、袴姿も多い。女子は綺麗なドレス姿もいる。一瞬“きゃりーぱみゅぱみゅ”が登場したかと見紛うばかりの異色の女子もいた。

卒業生代表の答辞が始まった。真面目そうな好青年である。哲学者カントの言葉を引きながら当校の伝統である「自由と自立」に言及。個性豊かな仲間との出会いを懐かしみながらの、“生徒に負けず劣らず個性的な先生方・・・”という言葉に、思わず会場の反対側に座る先生方の中に豊かな個性を見つけようと視線を送ったが残念ながらド派手な衣装を纏ったり、モヒカン刈り姿の先生などはおらず、この日だけは皆澄ました顔で座っていた。

答辞が進む中、“僕が所属していた茶道部で”という言葉に思わず座っていた椅子からずり落ちそうになった。我々の頃には男子生徒が茶道部に所属する“自由”はなかった。そうするにはかなりの覚悟と犠牲が伴ったはずである。でも良く考えればそれは謂れのない偏見である。

茶道部に所属し、卒業式には答辞を読む、立派に「自由と自立」を身に着けた頼もしい後輩に多くのことを教えられ、古女房からの自由と自立すら覚束ない我が身を省みつつ残り少なくなった自らの人生に想いを馳せながら、古女房の待つ家への帰路についた。
                               (この文章は「きずな62号」にも掲載されています)

大久保会長挨拶全文 PDF形式

※なお、「きずな62号」にてご案内した卒業生代表の答辞は、 ただいま掲載準備中です。しばらくお待ちください。
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